卒園式から学んだ顧客の記憶に残る感動の作り方

  • 2012/02/21
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忘れられない思い出
私が忘れられない記憶の一つに、娘の幼稚園の卒園式がある。
それは心に刺さるイベントだった。いや、単に子供成長がうんぬんという話ではなく、忘れられない思い出を作ってもらったと言ったほうが正解だ。

「記憶に残る」というのは、ひとの心にやはり感動があったからにほかならない。今回はマーケティングを学ぶと同時に、人の心に残るマーケティングについて考えてみたい。
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感動のフィナーレ


すでに娘は小学高学年だが、当時を振り返ってみる。
その当時は嫁も保育士の仕事をしていたが、これほど凄い物を見たことがないと言っていた。

卒園式はごく一般的な形式で進む。

自分の子供をみてここまで成長いたしましたか等と感慨深いものを感じつつ、卒園式は質素に進んでいた。
もちろん、自分自身の卒園式の記憶などもうない。多分名前を呼ばれて「はい」と返事をして何かをもらったんだろうとは思うが、もはや記憶にすら残ってはいない。

そしていよいよ最後。椅子の下のカゴをお持ちくださいと言われて、言われるがままにカゴを見てちょっと驚いた。そこには色とりどりの紙吹雪用に切り刻まれた折り紙がびっしりと詰まっていたのだ。

この「びっしり」というのは言葉では正直表現することはできないし、その場にいて初めてその感動を味わえるものだということはわかっているが、とにかくすごい量だった。そしてこれが、子供たちやそれを見守る家族の分まで全て用意されていた。

最後にこの紙吹雪を一斉に、全員でまく。その量が半端ではないので、スーツのあちこちに入り込むし、床は色とりどりの折り紙でびっしりになった。その光景と感動は今でも忘れられない。ぶわーっと舞う大量の折り紙は大人すら感動させるものだった。

もちろん子供たちも楽しそうに折り紙を空高く投げつけていたが、こちらもあまりにも感動して子供を見るのも忘れるほどだったのだ。それまで静かに進んでいたホールも、大人や子供たちの歓喜の声で賑わった。そしてそのままの状態で終わる。終わった後は子供と親はみなこう話す。

「すごかったね!おめでとう!」と。

多分だが、どう考えてもこれらの折り紙を用意するのは大変だ。職員たちの飽くなき情熱が感じられたし、これを掃除するのも大変だろう。一見すると無駄なことなのかもしれない。しかし、今だに娘は卒園式の紙吹雪はしっかりと覚えているし、私もきっとこの先忘れないだろう。

4Pと4Cマーケティング


私はコトラーが大好きなわけだけど、マーケティングは3年ほど前から急速に4Pから4Cマーケティングに移行しつつある。

4Pマーケティングの特徴
  • Product(製品、サービス、品質、デザイン、ブランド)
  • Price(価格、割引、支払い条件)
  • Place(チャネル、輸送、流通範囲、立地、品揃え、在庫)
  • Promotion(販売促進、広告、ダイレクトマーケティング)
わりと簡単にまとめると、きちっとしたブランドを立ち上げて、品質、サービスを向上し、適切な広告活動を行えばユーザーは購入するというのが従来型の考え方。

4Cマーケティングの特徴
  • Customer Value(顧客にとっての価値を考える)
  • Cost to the Customer(価格設定、支払い条件、顧客負担、初期費用、オプション)
  • Convenience(人の都合に合わせる、買いやすさやパッケージの開けやすさ、使いやすさ、継続の利便性)
  • Communication(双方向コミュニケーション)
従来型に比べて、ユーザーの立場から製品を開発し、ユーザーの負担や、買うための労力の軽減など、ユーザー主体の考え方。こうしたユーザーの為の製品を用意すれば自然と商品が売れていくというのが昨今のマーケティング思考でもある。(ちょっと割愛しすぎた部分もあるので、ほうっておいて売れるものでもないです)

ここで着目したいのはCustomer Value(顧客にとっての価値を考える)というキーワードだ。

今回の卒園式でのフィナーレは、いったい誰に対してのものだったのか。卒園する子供たちも含めた大人へのサービスでもある。あれほどの光景を見たことがある大人もそうそう居ないだろう。そしてその日を価値有るものにしてくれたことへの感謝がある。口コミであそこが良いというのはとても簡単なものになった。

最近でも実にユニークなプレゼントを渡す方法を目にした。これも顧客にとっての価値を考えた結果なのかなというものだ。

あこがれのガラガラ


子供たちにとってプレゼントをもらうというイベントはたしかに価値があるものだ。ある飲食店に入った時のこと。今まで、飲食店の子供向けプレゼントといえば、なにやらおもちゃがいっぱい入ったカゴのような物を持ってきて、そこから好きなおもちゃを選ぶというのがスタンダードだ。これはよく見かける光景でもある。

でもその飲食店は一風かわったものを持ってきた。

クジで利用するガラガラと回して小さな玉が出てくるというアレだ。

それを見た時に誰もが「えっ」と思う。そしてそれを楽しそうに回し、何かが当たる。あたったものはカードをもらい、カードは精算する時にそのカードに書かれたものと交換することが出来る。

子供は終始そのカードをチラチラ見ては、そわそわしている。あたったものはたかだか普通のおもちゃだが、またガラガラを回したいと言うし、そのお店のことをしばらく覚えている事だろう。

紙切れのプレゼント


また別の話になるが、仕事の都合で保育園の園長とお話する機会があった。これは、Webサイトをつくるということでお伺いした時に見た光景なのだが、なにやら今週誕生日の子がいるらしく、その子達へのプレゼントを渡すイベントが開かれていた。

子供たちはそわそわしながらプレゼントはまだかという顔をしている。

おもむろに「プレゼントがあります!」といって、子供たちが歓喜。しかし先生が持ってきたのはただの紙切れだった。すこしガッカリした子供たち。すごく興味深くて見学させてもらった。
すると子供たちは、その紙切れを見てものすごい笑顔に変わった。いったい何が書いてあったのか?こちらもドキドキしてしまう。

そしてすぐに紙切れをもらった子供たちが散り散りに走りだした。私の頭の中はもはや「???」だ。

そして遠くから「あったー!」という子供の声が鳴り響く。次々とあったー!といってプレゼントを持って走ってきた。そう。紙切れは宝の地図だったのだ。これには子供たちも大喜び。心の底で「すげぇ」と言ってしまった。

園長先生に話を聞くと、どうやら保育士の一人が考案したものらしく、答えは単純だった。

「プレゼントってもらった時に嬉しいって誰もが思うことだけど、貰うまで、貰ったあとまでを考えてあげて初めて記憶に残るんじゃないかなと思う」

あぁすごいこの人本物だと感じた。

顧客にとっての価値


顧客にとっての価値とは何かというのを考え始めると、尽きることはありません。

全国チェーン展開している「つぼ八」という居酒屋をご存知の人は多いかと思いますが、その中でも「また行きたい」と思えるお店が、北海道のド田舎にある斜里町のつぼ八です。

あそこで食べた、特選マグロというメニューが、他で食べたマグロをはるかに超越したものでした。そこで食べた8人は、誰もがこのマグロうますぎるという結論に達したのです。理由は定かでは無いのですが、地域に密着した展開なのかもしれません。

あと東京に遊びに行った時に訪問したデジタルクリエイターの就転職を支援するHLYWD AGENTさんのオフィス。
以下実際の写真です。
ハリウッドエージェントジャパン
ハリウッドエージェントジャパンオフィス
思わず「おお・・・」と言ってしまったけど、天井は鉄骨のままですが、いい味だしてますし、照明は蛍光灯をとっぱらい、スタンドとスポットライトのみで、隠れ家的な演出がなされています。
これは自分たちのスタイルと言える部分もありますが、話を聞いた内容では、どちらかと言うと顧客側にあまり硬くならずにというメッセージでもある。

これらは全て、顧客の求める価値を包み込む、製品の形や、製品の付加価値まで全てを考えて初めて生まれるものでは無いかと言える。

ただし、顧客の意見を全て聞き入れるというわけではない。

有名な例え話だが、車の無い時代に、顧客はもっと馬力があって、早く走れる「馬」が欲しいというのは当然のことだ。誰もこの時点で「車が欲しい」という答えを出す人は居ない。

自身が顧客になって、その場所でどのような感動を得られるのか、その製品でどのような感動を得られるのかを考える事が、最終的に顧客の価値を見出すことになるんじゃないだろうか。

みなさんはどう思いますか?

それでは、また。


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